「古医道」とは、江戸時代中期の漢方医の人々から生まれた言葉です。当時、江戸における漢方医は、安土桃山時代の典医・曲直瀬道三の門末同流の人々が主流で、大きな勢力を占めていました。

 曲直瀬道三派の人々が行っていた処方は、明の李朱の医学を墨守したものです。ところが、享保時代(1720年頃)以降から医界も、明の李朱の医学から更に元に戻って、秦漢時代の古の医学に立ち返る学問が興ります。丁度、日本の思想史では復古主義、復古神道が叫ばれていた時代です。

 それに同調したのが古方家と言われる人達です。古方家の人々の主張は、わが国の古医道研究を促す機運ともなりました。特に注目すべき点として、わが国の古典を学び医道の復古学に結びつく機縁をなしたことです。

 しかし、ここで大きな壁となったのが資料文献の不足です。医道の復古が唱えられても、すぐには純粋の「皇朝医道」とはなりえませんでした。何よりも、長年にわたって漢方医法によっての処方をしてきているのですから、今更、太古の体系を学ぶにも、その殆どを失っているのが現状です。古方家の人々がとった医道研究も、これまで通りの漢方処置と切り離すことは出来ませんでした。

 このような「古医道」の思想を受け継ぎ、志を高めたのが権田直助です。彼は、その主眼とする「皇朝医道」の起源は「古事記」にあるとしました。そして、それは大己貴神、少彦名神の医薬療病に関する方法で、この医法は必ずや古代から伝わっているはずであり、それがわが国固有の医術でなければならないと主張しました。確かに、人間が生活する古代においても外傷に対する治療方法、子供を産む助産術、疲れた時の按摩法、傷口の外傷薬、腹痛の内服薬など、既に存在していたと思われます。疾病に最も適した薬草薬物が存在していたはずです。

 日本には、日本の特性があるべき筈で、その特性は、病の上にも治療の上にも表れているべきなのが当然であるとの見解です。これこそが、日本人の生まれながらの身体に適した療法であり、ここに「古医道」の深い意義があると述べています。

 現代に生きる我々が、自らの国の精神文化を学び、知識を深めることに、神道精神文化「古医道」を起こす意義が有ります。楽古舎の趣旨は「日本の精神文化を知る」「日本の古代医療を見直す」ことにもあるのです。

 

 神社奉仕の私が古医道の研究をするようになったのは、今は亡き大阪医科大学学長、名誉教授の山中太木先生の出会いからです。30年前、先生から「医療と神事」について尋ねられ、神職としての立場から「古医道」を研究して貰いたい旨を依頼されましたのがきっかけでした。現代の科学で発見されたようなことが、すでに古代社会において神事、祭祀の中に組み込まれていることを指摘されたのです。科学医療誕生以前は、すべてが神任せです。雨が降るのも風が吹くのも、ましてや病気となると悪霊、もしくは神の怒り、神の祟りとして考えられていました。それも、つい最近までの出来事です。やがて、人々は神話について“なぜ”と言う問いかけをもつようになりました。神話だけに留まらなかったのです。人間自らを見直さそうとする学問が生まれました。ギリシャ哲学、自然哲学の誕生です。哲学は物理学、自然科学を生むきっかけとなり、やがて、科学医療として発展していきます。
科学医療は近代医学の礎として目覚しく発展していきます。然し、その当時から言われていた言葉である「治癒は神によるもの」と言う考え方は近世まで語り継がれてきました。現代でも十分に通用する言葉です。
このように今も昔も只管、祈りをあげるのです。そこから医学の「毉」「醫」の漢字が生まれます。巫女が神がかかって神託により病気を治癒したり、薬法による施術を行ったことから生まれた漢字です。
それでは、その「神」とはどういうものなのでしょうか。「神」は“かしこむもの”であって霊威の優れたものを「神」と崇めてきました。「神は上なり」(新井白石)「神はカビ、カは指示語。ビは霊妙なるもの」(平田篤胤)「カシコキ物はカミと見なされる」(本居宣長)とあるように、いつしか日本人の心の中にその神格をかしこんだ言葉として生まれたのです。
当会では崇める神の存在、神の神格よりも、その神の働きを解明していかなければなりません。医療に神の持つ神の働きが重要だからです。何故ならば、「神」をよりよく掘り下げて解明していくためには、古代の人々が「神」とどのような形で接してきたかを学ばなければなりません。崇める神の存在ばかりでなく、唯物的神観念でもなく、神の働きが実際に活動して貰わなければなりません。
そこで当会では、神の働きを「カ」「ミ」であらわしています。「ミ」の働きです。そこから「ムスビ」として活用されていきます。産霊の神の働きとなります。人間の一生は全てが「ムスビ」です。そこから、当会では「ムスビ学理論」を提唱しています。  

*、神を拝し、顕現しての祈り、祓いは古代医療でもあります。古医道を知るには神の働きを知ることも必要な事です。現実に現代でも神仏への祈願というのは、どこの国においても、どの民族においても敬虔な祈りが行われております。只、科学的医療とははなれた、精神的医療の一面も含んではおります。欧米では人生の終末を迎える終活に信仰を勧めたり、牧師を抱えている病院があります。
楽古舎では、祈祷を依頼される人のみに限って御祈祷を行っています。開運厄除け、家内安全、縁結び、健康回復、無病息災、悪疫退散、業務繁栄などの諸祈願の祈祷を神楽太鼓に合わせて斎行しています。太鼓の音は心底身中に響き渡り、悪運、邪気邪霊を払拭して爽やかな気持となり、開運招福の吉運を運んでくれます。出張家宅清祓いも行っています。御祈祷ご希望の人は御連絡下さい。予約制です。


機関紙神道精神文化「古医道」は我が国に伝承されてきた古代医療、伝統医学を広く知っていただくために発行しております。
 
神道精神文化「古医道」

わが国の伝承医学――「古医道」による治癒法――

一、呼吸法・・呼吸螺旋運動
二、発声法・・発声による振動と共鳴
三、波動法・・体の気血の流れを促す
四、心療・・心療施術
五、陰陽食養生・・陰陽のバランス

 
   
機関紙「古医道」の発刊内容 バックナンバー
第1号 一、「古医道とは」 二、「神道と古医道」 三、「神道に見る治癒法」―祈り―  四、「病因」(癌) 五、「息吹学」 六、「呪符と呪文」(十字架) 七、「植物の呪術性」 八、「伯家神道談義」 九、「呼吸法による治癒法」
第2号 一、「古医道の起こり」 二、「神道学」(祈りと呪い) 三、「神道哲学」 四、「病因」(夜尿症) 五、「息の神々」 六、「呪符と呪文」(×) 七、「植物の呪術性」(杉) 八、「伯家神道談義」 九、「息吹呼吸法」
第3号 一、「皇朝医道の研究」 二、「神道にみる古医道」 三、「病因(膀胱炎) 四、「息吹とイブキ族」 五、「霊学」(五の数霊) 六、「植物の呪術性」(森と出雲神話)
第4号 一、「古医道復興と悲劇」 二、「宗教と哲学の発生」 三、「病因」(月経と腰巻き) 四、「息吹と伊吹山」 五、「霊学」(四の数霊) 六、「植物の呪術性」(桧) 七、「やすらい祭」 八、「禊と祓い」 九、「禊祓行事次第」
第5号 一、「ムスビの行法」テキスト発行について 二、「古神道に伝わる息行」 三「息吹呼吸法の心得」 四、「息吹呼吸法」 五、「呼吸法の効用」
第6号 「ムスビ学行法」―養気法―  一、「気について」 二、「日本の気の感覚」 三、「気と魂」 四、「気の鍛錬法」 五、「養気法」
第7号 「ムスビ学行法」-導気法―  一、「導気法とは」 二、「心理的な導気法」(月輪観、実相観) 三、呼吸法による導気法
第8号

「ムスビと鎮魂」  一、「わが国の霊魂観」 ニ、「ムスビ」について 三、「鎮魂呪法」

第9号 霊学「幽顕論」―幽世と顕世―  一、「幽斎と顕斎」 二、「権田直助と幽顕論」 三、「伯家神道の幽顕論」 四、「霊動法」(渦動法)
第10号 「皇朝医道」 一、「皇朝医道について」 二、「わが国医学の始まり」 三、「神話にみる医学」 四、「古代医療」
第11号 一、「皇朝医道」と「霊動法」  ニ、「タマ」の働き  三、「鎮魂行法」  四、「霊動法」の行法
第12号

大祓詞の解釈 一、「大祓詞の本文」 二、「大祓詞の解釈」 三、「大祓詞の変遷」 四、「祓いの神歌」

第13号

「祓へ」: 一、「祓へ」二、「祓への意義」三、「祓への神々」四、「祓詞」五、「禊行法の報告」

第14号

和方薬法「薬猟と端午の節句」: 一、「蒲生野の薬猟」(アカネ草・紫草)二、「端午の節句」(粽・菖蒲・茅・蓬)

第15号

古代の衛生法 「禊と厠」   和方薬草―ほおづき―  ※2011年8月末日発刊
一、「禊ぞ夏のしるしなりけり」
  ○、禊ぞ夏のしるしなりけり
  ○、禊になりませる神
  ○、禊の意義
二、「水の霊」(ミの働き)
三、厠神

第16号

「言霊」
一、やまと言葉の発生
二、やまと言葉の成立
三、言葉の持つ力
四、言霊とは
五、言霊療法